「ピオピオ」という大きな声が、整地された広い空き地から聞こえてきます。声の主はチドリの仲間のコチドリです。大きな目の周りの黄色が目立ちます。よく見ると一羽ではなく子供を連れていました。
親鳥は周りをキョロキョロ見渡しながら、用心深く歩きます。カラスやネコなど町中は危険がいっぱいです。本来、コチドリは河原や海岸など、砂と石がある水辺に巣を作り子育てをする鳥なのです。しかし開発が進んだ現在の日本には、ほとんどそういう場所は残っていません。
コチドリと同じような環境に巣を作るシロチドリやコアジサシなどの水鳥は、近年繁殖地の減少で生息数が大きく減っています。私がコチドリの親子を見つけた場所は、大型商業施設の建設予定地です。
きっと来年はここで子育てをすることはできないでしょう。コチドリたちの住宅難は続きます。(中村さやか)