「母と暮せば」舞台写真、富田靖子(左)と松下洸平(こまつ座提供、福岡諒祠撮影)

「母と暮せば」舞台写真、富田靖子(左)と松下洸平(こまつ座提供、福岡諒祠撮影

 演劇鑑賞団体「佐賀市民劇場」の例会で8月8日午後7時と同9日午後1時から、こまつ座の舞台「母と暮せば」(作・畑澤聖悟、演出・栗山民也)が上演される。劇作家井上ひさしが生前に構想していた長崎の原爆をテーマにした舞台の上演が、佐賀で3年越しに実現する。

 同作は、原爆で死んだ青年の幽霊(松下洸平)が母(富田靖子)の前に現れる物語を幻想的に描く。2018年の初演時には、栗山が読売演劇大賞の大賞と最優秀演出家賞、松下が同賞の優秀男優賞と杉村春子賞、文化庁芸術祭演劇部門の新人賞を受けた。

 佐賀では当初21年に上演が予定されていたが、コロナ下で延期した。今年は九州の各演劇鑑賞団体に招かれ、東京(完売)など全国3カ所でも上演する。

 井上の三女でこまつ座代表を務める井上麻矢は、3年越しの佐賀での上演実現を前に、「やり残した九州の旅がようやくかなう。待ちに待った瞬間」と喜びを語る。同作について「当たり前の日常は奇跡。大切な人をなくした全ての方へ捧げる、祈りのような作品」とコメントを寄せる。

 例会での観劇は会員限定。入会希望者は3人以上のサークルを作るか、既存のサークルに入り、1年以上継続する。入会費は2500円、会費は月2400円。大学生、中高生料金もあり。問い合わせは同劇場事務局、電話0952(26)0791。(花木芙美)