不登校やひきこもりの子どもを持つ家族を対象にしたセミナーが21日、武雄市山内町の神村学園武雄校舎で開かれた。ひきこもりの当事者や家族の支援に取り組む教育文化研究所(福岡市)の代表長阿彌(ちょうあみ)幹生さんが講演し、当事者の思いを受け止めて支え合うことが大切だと説いた。
長阿彌さんは、17歳から29歳までひきこもった長女が自殺未遂を繰り返したため仕事を辞めた。「娘と一生付き合っていこうと覚悟を決めた」とし、「学校に戻したり、仕事に就かせようとはしなかった。一緒に食事をして笑い合うことだけを続け、今では結婚し家庭を持つようになった」と振り返った。
自身の経験を踏まえ、「ひきこもりを駄目だと思っている人が、その当事者本人の人生を駄目にする」と指摘した。その上で、自己肯定感が低くなっている当事者に対し「自分の意見を押しつけず、助け合い・支え合い・分かち合いを実践できるように大人自身が生き方を変えるべき」と提言した。
参加者からは「本人だけでなく親へのフォローも考えてほしい。どんな機関があるのか」などの質問があり、長阿彌さんは「市町の役所だけでなく、最近は社会福祉協議会も専門の窓口を設けている。いろんなNPO法人もあるのでウェブを活用してほしい」とアドバイスした。
セミナーは武雄校舎を運営するNPO法人十月の森(伊東秀基代表)が企画し、約20人が参加した。(澤登滋)