大手企業の県内支社長や支店長らでつくる「ブランチ佐賀さかえ会」(座長・中尾清一郎佐賀新聞社社長)の例会が17日、佐賀市のグランデはがくれで開かれた。8月1日に開館20周年を迎える佐賀城本丸歴史館副館長の古川英文さんが、佐賀藩10代藩主鍋島直正(閑叟(かんそう))の功績を紹介した。
直正は西洋の科学技術を積極的に導入し、幕末日本の近代化をリード。儒者古賀穀堂の意見書「学政管見」に基づき、人材育成のための教育改革を推し進めた。古川さんはその先進性を強調し、「佐賀藩には直正と穀堂、優れた藩主と側近の両方がいた。まれなことだ」と述べた。
24歳の直正が「事業は山の如(ごと)く未(いま)だ成就せず」と書いた漢詩を引用し、若くして藩主となった直正の苦労も伝えた。その後30代で成果を挙げ、1850(嘉永3)年には日本初の実用反射炉・築地反射炉が着工した。古川さんはこの年を、佐賀藩の近代化を象徴する年と位置づけた。
古川さんは「閑叟の大きなビジョンを成し遂げる長期的姿勢や忍耐力は、政治や会社経営の参考になる」と述べ、“閑叟公のテーマパーク”である歴史館への来館を呼びかけた。(清川千穂)