九回表2死二塁。1点を追いかける佐賀農8番の上戸翔倭が高々と打ち上げた。「落ちてくれ」―。行方を見つめる上戸の願いが通じたかのように、打球は強い風に押し戻され追いすがった中堅のグラブをかすめて落ちた。土壇場で同点に追いつき、息を吹き返した佐賀農が、タイブレークの末に鹿島を下した。