C大阪戦で14試合ぶりに復帰した中原輝(左)。夏以降、チームを救う救世主となる=大阪市のヨドコウ桜スタジアム

 けがに苦しんできた新戦力がようやく本領を発揮する。今季から鳥栖に加わった中原輝が第20節のC大阪戦で、12試合ぶりにリーグ戦出場を果たした。調子が上向かないチームにとって、明るい材料の一つだ。

 開幕直前のけがで1度目の戦線離脱。4月上旬に復帰し、2試合に出場したが第7節の浦和戦で開幕前と同じ箇所を負傷した。「焦って復帰して再発してしまった。体と向き合い無理をせず、一つ一つ段階を踏むことを大事にしてきた」。2度目の離脱以降、早く復帰したい気持ちをこらえ、地道にリハビリに取り組んできた。

 6月に入って、全体練習に徐々に加わるようになった。「コンディションはもっと上げる必要がある」とまだ万全ではないが、ベンチ入りを果たし、短い時間でもピッチに立ったことは大きな前進だ。

 C大阪戦では後半26分から、主戦場とする右サイドで出場。ボールを受けると積極的に前に行き、「味方や相手の立ち位置やタイミングを見て決めた」と、状況に応じて中央や左サイドまで顔を出し、攻撃活性化を狙った。得点には至らず「クロスやパスの質を高めないといけない」と改善点を挙げたが、中原が入ってからボールを前に運ぶ回数は増えた。

 シーズンの前半戦をほぼリハビリに費やし「稼働できず迷惑をかけた」と悔しさをにじませた。ただ、中原は夏場から実力を発揮した過去がある。

 昨季、出場機会を求めて夏の移籍期間にC大阪から当時J2の東京Vに期限付き移籍。移籍後は16試合で5得点を記録し、東京VのJ1昇格に大きく貢献した。「昨季は夏から充実したシーズンを送れた。出遅れたが、暑い時期はいいイメージはあるので、チームを救いたい」。鳥栖の“夏男”がチームを浮上に導く。