全日本川柳協会常任幹事、卑弥呼の里川柳会代表の真島久美子さん=吉野ヶ里町=が、第1句集『恋文』を出版した。子どもの頃から始めた川柳の現在の集大成となる句集となる。
真島さんは、県内川柳界をけん引した父の故真島清弘さんの背中を見て、川柳作家として歩み出した。川柳の大家・岸本水府(すいふ)(1892~1965年)を冠した水府賞や全日本川柳大会賞などを受賞し、全国の句会に選者として呼ばれるなど、今では川柳界で名が知られる存在となった。
満を持しての出版となった第1句集は、ここ10年ほどの句から選んだ。亡くなった父を思う「父さんが少年になる竹細工」など家族を詠んだ句や、「どの雪も本物だから別れましょう」と私小説的に心情をさらす句など、今の真島さんの集大成が並ぶ。特に自らをさらけ出す句には、人間を描くという川柳の本質の一つを見る。
句集出版については、周囲から期待が高まっていた。真島さんは「やっと世に出せた」と笑顔を見せる一方、「この句集は現在の私の句を網羅しているが、満足はしていない。明日作る句がもっといいものになる」と、今後の作句を見据える。
現在は、誌上大会を含めて年間50回ほど選者として句会に招かれる。九州最大規模の「吉野ヶ里川柳大会」のほか、女性だけの句会を主催するなど忙しい毎日の中、「プレッシャーは年中あるが、楽しく川柳と関わっていきたい」と意気込んでいる。(原田隆博)
▼『恋文』は詩歌本のウェブショップ「満点の星」で購入可能。菊版、178ページ、2千円(税込み)。