連携協定書をかわした向門慶人市長(右)と慶応大大学院メディアデザイン研究科の岸博幸教授=鳥栖市役所

 鳥栖市は30日、慶応大大学院メディアデザイン研究科と脱炭素社会の実現に向けた連携協定を結んだ。交通の要衝、物流拠点、二つのプロスポーツチームがある鳥栖市の特性を生かし、脱炭素化に向けた日常の具体的な行動や意識を市民や企業に浸透させる取り組みを進める。

 同研究科は2023年5月に佐賀県と持続可能な先進地域化に関する連携協定を締結。鳥栖市は実証フィールドとなっており、市内で賃貸住宅への太陽光発電導入などを実施してきた。

 鳥栖市は昨年12月に「ゼロカーボンシティ宣言」を実施。二酸化炭素(CO2)削減が求められる物流業が集積し、市民の意識醸成や行動変容のきっかけになるプロスポーツがあるなど、「実証実験に最高の環境がある」(同研究科)と今回の連携に至った。

 脱炭素化は実証や構想段階を経て、2026年からは市民や企業が具体的な行動を求められると同研究科は強調。今後、鳥栖市ではセミナーやワークショップによる企業への啓発、薄型太陽光パネルや蓄電池など先端技術の実証や地元業者による施工ノウハウの確認、スポーツチームや団体との連携による意識や行動の浸透支援を行っていく。

 同日、市役所で開かれた調印式で、向門慶人市長は「脱炭素化は重要課題だが、一人一人が行動しないと達成できない」と連携を通じた取り組みに期待した。同研究科の岸博幸教授は「地に足がついた成功例をつくることで、日本全体が学べるようなモデルケースづくりを目標にしている」と語った。(樋渡光憲)