嬉野市の山奥にある、祖父母が作った花園「志田フラワー園」を守るため、孫娘が敷地内にカフェをオープンしました。店主は、桂沙弥香さん(25)。花園中央の小さな小屋で、ケーキや焼き菓子を販売します。
「志田フラワー園」は、2016年に開園。川原安幸さん(78)絹代さん(76)夫妻が5年の歳月をかけ、約3千平方メートルの敷地をコツコツ整備。春には愛らしいシバザクラが咲き誇り、地域住人や観光客の憩いの場として親しまれてきました。
しかし昨年猛暑により花の根が枯れてしまい、夫妻も高齢のため閉園を視野に。そこに待ったをかけたのが、孫の沙弥香さんでした。
「いつか大好きな祖父母の花畑で店を開く」という夢を抱き、地元嬉野市を離れ、フランスや東京でパティシエ経験を積んでいた沙弥香さん。「『シバザクラが枯れたから閉園を考えている』と言われ、急いで佐賀に戻ってきた。予定よりも少し早かったかな」と笑って振り返ります。
カフェの名前は「Ensoleillé(アンソレイエ)」。フランス語で“陽だまり”を意味し、たくさんの人に愛される日だまりのような場所になるようにとの思いを込めています。
看板商品は、かわいらしい棒付きの「お花のマカロン」。持ちやすく、写真映えもばっちり。ピンク色の花の形をしたマカロン生地に、なめらかなバタークリームを挟んでいます。
爽やかな酸味のチーズケーキ、甘さひかえめのシュークリームも人気。テイクアウトもいいですが、天気がよければ、山の空気を感じながら外でゆっくりと味わうのもおすすめです。
「さやちゃんがカフェを開いてくれてうれしい」と、祖母の絹代さん。「お客さんが喜んでる顔を見ると(フラワー園を)やめようにもやめられん」と、祖父の安幸さん。少し困ったような笑顔を浮かべながらもうれしさをにじませ、「夏に向けてひまわりを植えて…」とやる気をのぞかせます。
シバザクラ、ネモフィラ、ツツジ、藤の花、アジサイ…。季節の花が楽しめる志田フラワー園は、花の開花時期にのみ開園(現在は休園中)。カフェは通年オープンしています。
家族の愛が詰まった、美しい自然の中のカフェ。6月にはアジサイが見頃を迎えます。青空の下でスイーツを味わいながら、花や緑に癒やされましょう。(清川千穂)
住/嬉野市塩田町久間甲3071-151 志田フラワー園内
電/080-9710-1722
営/11:00~16:00
休/大雨の日
駐/あり
IG/カフェ:ensoleille0315
フラワー園:sida_flower
料/大人300円 ※オフシーズンは無料
他/フラワー園の開園時期はInstagramを要チェック。現在はオフシーズンのため休園中