大会に向けて練習に汗を流す選手たち=嬉野市塩田町のうれしの特別支援学校

 佐賀県で10月に開催される全国障害者スポーツ大会(全障スポ)で優勝を目指す県の知的障害者男子バレーボールクラブチーム「SAGA WINCROWS(サガウィンクロウズ)」が18、19の両日、有田町文化体育館で県外の知的障害者チームを招いて初めての自主開催の大会を開く。全障スポ本番に向けた強化策の一環で、選手が勤める企業や県、県バレーボール協会などがバックアップする。

 大会にはサガウィンクロウズと昨年の全障スポ3位の鹿児島県、関西で強豪の兵庫県の選手や関係者ら約50人が参加。18日の練習会には唐津工高、嬉野高、鳥栖高の生徒も参加し、競技を通して選手と交流する。知的障害者チーム同士の試合は19日午前10時から行われる。県バレーボール協会が審判員を派遣し、全障スポの運営を見据えた研修の場にもする。

 選手たちは、サガウィンクロウズのスポンサーでもあるメリーランド(武雄市)が運営するセントラルホテル武雄温泉駅前(同)に宿泊する。食事などを共にして、コート外でも親睦を深める。

 大会は「キヨモトグループカップ」と銘打ち、主将の向門直人さん(21)らが勤める武雄市の工場を運営する九州製鋼(福岡県)やグループ企業の清本鉄工(宮崎県)、メリーランドなどが後援。全障スポ出場チームが他県のチームを招いて開く練習会について佐賀県が費用の一部を助成しており、その制度を活用して参加者の宿泊費などに充てる。

 チームは全障スポ出場を目的に2019年に発足。昨年の鹿児島大会では2大会連続優勝の和歌山県に惜敗したが、その後、全国で初めて企業などから資金援助を受けて活動を始めた。

 大会に向けた練習を12日、嬉野市のうれしの特別支援学校で実施した。ブロックカバーから攻撃に切り替える練習などを重点的に行い、選手は互いに声をかけ合って連係を確認した。

 チームを指揮する井之利昌監督は「自分たちの他に男子の知的障害者バレーボールチームは県内になく、今回は同じ障害がある選手同士で対戦できる貴重な機会。運営を支えてくれる人たちへの感謝の気持ちを忘れずに、この経験を本番に生かしたい」と抱負を語る。(蒲原隆寛)