4日からの一般公開に先駆け、国指定の名勝「九年庵」(神埼市神埼町)で3日、初公開となる邸宅内を会場に茶席や人気声優による朗読会などのイベントが開かれた。爽やかな新緑と鳥のさえずりが心地よい空間で、参加者はゆったりとした時間を過ごした。
経年劣化の進む九年庵を文化財として保存しつつ、一般公開以外の活用策を探ろうと、県が初めて特別限定公開を企画した。
定員20人に対し、7倍を超える応募があった茶席体験では日本茶アドバイザーの鳥谷唯さん(武雄市)が嬉野の抹茶を提供した。菓子は「よなよなあん工房」(佐賀市)が庭園のコケや地元の城原川をモチーフにした限定あんこスイーツを用意。抹茶わんは有田町の陶芸家井上祐希さんの作品を、懐紙には伝統工芸の名尾和紙を使うなど“佐賀づくし”の茶席を演出した。
日本食プロモーターの今出朋子さん(54)はロサンゼルスから訪れた。「ここは新緑が本当にきれい。食を含め、佐賀の魅力は本当に多い」と笑顔を見せた。友人と参加した会社員中山雅士さん(45)=佐賀市=は「邸宅から見える借景が抜群」と満足げだった。
一般公開は6日まで。午前8時半~午後5時。美化協力金として500円(高校生以上)が必要。(福本真理)