筆者の勤務する佐賀市星空学習館は、子どもからお年寄りまで全ての方々を対象とした生涯学習事業を行います。学習というとなんだか難しい印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。生きる喜びのために、新たな知識を得ることが生涯学習です。
当館の定例観望会では一緒に星空を観察しながら、会話しながら質問を受けています。質問の中には職員も頭を抱えるものもあります。こういった質問はだいたいお子さんからの素朴なものですが、皆さんはこんな質問を受けたことはありますか。「空はどこまで続いているんですか?」
うーん、空はずっと続いているように思うし、でもずっと高く人工衛星が飛ぶ高さになると「空」というより「宇宙」でしょうか? 実は、国際的な取り決めで「海抜100キロまでが大気圏、それ以上は宇宙」と定められています。この高さは、ハンガリーの航空工学者カーマン博士が提唱したもので「カーマンライン」と呼ばれています。挿絵は地球の丸みに対するカーマンライン(高度100キロ)を示していますが、大気圏の薄さを意外に思うことでしょう。
さて、カーマンラインは宇宙開発のための科学的な定義で、そこに線があるわけではありません。そもそも、子どもたちが尋ねる素朴な質問とは違う気もします。質問の真意はどこにあるのか、文脈に照らして、私自身にも答えがない質問には、正直に「おじさんも分からない」と回答することもよくあります。
文・早水勉(佐賀市星空学習館副館長)
イラスト・河塚彩和(同館)
○星空学習館のイベント
「4・5月の定例観望会」
毎週金・土曜20時~21時45分(最終受付21時15分)無料、予約不要