少子化による学校の統廃合で、4月に誕生した唐津市の厳木小、肥前小、白石町の白石中の3校で9日、開校式が開かれた。統合前の各校の歴史と伝統、地域の人たちから寄せられてきたそれぞれの思いを受け継ぎながら、新しい学校としてのスタートを切った。
■厳木小
唐津市厳木町の厳木小は厳木小、箞木(うつぼぎ)小の2校が統合し、厳木中と同じ校舎を使う施設一体型の小中併設校「厳木小」として生まれ変わった。旧厳木町では唯一の小学校になる。
2~6年生は厳木小から60人、箞木小から55人、転入生1人。新1年生18人が加わり、全校児童134人で出発する。開校式で前田雅利校長は「2校の伝統を受け継ぎながら、新しい校風と素晴らしい伝統をつくり上げてほしい」と児童たちに呼びかけた。
児童代表のあいさつで、6年生の小松春華さんと荒久田芙佳(ふうか)さんが「学校の自慢できるもの、見守ってくださる地域の方々も2倍になる。学校生活の楽しさも2倍、いやそれ以上になる」と語った。2校に加え、2011年に箞木小と統合した本山小の3校の校歌を再構成した新たな校歌が披露された。(宮﨑勝)
■肥前小
入野、納所、田野の3小学校を統合した唐津市肥前町の肥前小は、旧入野小の校舎に開校し、2~6年生128人が式典に臨んだ。校歌と校章にはそれぞれの学校の歌詞や絵柄を取り入れ、児童たちは新しい校歌を声高らかに歌った。
開校式では、校歌を作詞した元田野小校長の冨永修さん(76)が「肥前町といえば玄界灘に浮かぶ島々を連想し、(納所小の校歌にあった)『玄界灘』を歌詞の最初に入れた。意味を自分で考えながら歌って」と呼びかけた。校章の稲は納所小、中央部分の桜は入野小、田野小の校章から取った。
6年の宮本結衣さんは「保育園から一緒の人もいる。みんなで協力し、笑顔あふれる素敵な学校にしたい」と抱負を述べた。児童数は147人で、2~6年生は田野小から33人、入野小から45人、納所小から50人。1年生は19人が入学する。教職員は22人。(松岡蒼大)
■白石中
有明、白石、福富の3中学校を統合した白石町の新しい「白石中」の開校式と集いでは、2、3年生約350人が地域の人たちと開校を祝い、「新たな歴史を切り開く」と誓った。
貞松弘人校長は「3校の歴史と伝統を継承、発展させ、地域に貢献できる生徒を育てたい」とあいさつし、校歌を作った唐津市出身のしの笛奏者佐藤和哉さんは「歌詞に先人が築いた干拓地や堤防を盛り込んだ。行き帰りの道でも口ずさんで」と、自ら演奏した。
生徒は吹奏楽部の演奏で校歌を合唱。3年の柴田理依愛(りいあ)さんが「白石の風景が心に浮かぶ校歌を心の支えに、551人がひとつになって歴史を刻んでいきましょう」と呼びかけた。
校訓は「拓(ひら)く 輝く 強く」。各学年5クラスずつと特別支援学級10クラスで教職員は73人。部活動の地域移行が陸上で始まる。(小野靖久)