全国農業協同組合連合会(JA全農)やJA佐賀中央会の会長を務め、日本と佐賀の農業界を長年にわたりけん引してきた中野吉實(なかの・よしみ)氏が24日午後5時20分、佐賀市内の病院で死去した。76歳。自宅は佐賀市久保田町。通夜は26日午後7時から、葬儀は27日午前11時から、佐賀市神野東のJAプレアホールさがで。喪主は妻の節子(せつこ)さん。
中野氏は32歳で久保田町農協(当時)の組合長に就任し、1991年からJA佐賀中央会副会長、2003年から会長を6期14年務めた。県経済連、県信連などJAグループ佐賀の各連合会の会長職も歴任した。11年からは県出身者として初めてJA全農会長となり、2期務めた。
農畜産物の販売など経済事業で手腕を発揮した。東京・銀座への「季楽(きら)」の出店や、佐賀牛をはじめとした県農畜産物の海外輸出を積極的に進めた。政財官の幅広い人脈を生かし、佐賀農業の発展に尽力した。
全国組織でも要職を歴任した。JA全農会長として、政府・与党が進める急進的な農協改革に対し、現場の声を届けて反対の立場を貫いた。
07年度佐賀新聞文化賞(産業部門)を受賞し、20年には旭日重光章を受章した。(古賀真理子)