ロシアによる侵攻が3年目に入ったウクライナへの理解を深める講演会が17日、佐賀市で開かれた。ウクライナ語研究の第一人者である東京外国語大・中澤英彦名誉教授が「人間愛に満ち、優秀な人材を輩出している」など佐賀とウクライナの共通点に触れながら歴史や文化を紹介。ウクライナについて理解することが「一番の支援になる」と強調した。
現在、佐賀県内ではウクライナからの避難民21人が暮らしている。講演に先立ち、県国際交流協会の黒岩春地理事長が、侵攻開始から4年目以降は関係機関からの生活支援が見通せないとし、「避難民はこの1年、どうするかの岐路に立たされる」と話した。
1991年に初めてウクライナを訪れ15回ほど足を運んだ中澤氏は、ウクライナが開放的で、豊穣(ほうじょう)な土地だったことが「悲劇のもと」とした。絶えず大国の影響を受け国境が変わった上、ウクライナ語禁止令が13回以上出され、ウクライナ語を話しただけで銃殺された苦難の歴史にも触れた。
また、「義のためにはいかなる困難も恐れず身も心もささげる」というウクライナ人の精神世界が「武士道にも通じ、日本の感性に非常に近い」と述べ、他人事の姿勢ではなく、自分に引き付けて考えることを望んだ。
講演会はウクライナ避難民を支援する「SAGA Ukeire Network」が主催し、約50人が参加した。(川﨑久美子)