< 168BAKERY + Attena >

2023年4月から休業していた、小城市三日月町の「168BAKERY(イロハベーカリー)」。わずか3坪という狭小店ながら根強いファンが多く、休業には多くの惜しむ声が聞かれました。その人気ベーカリーが2月から営業を再開。金・土曜限定で、ベーグル専門店「Attena(アッテナ)」と共同で営業しています。

営業再開を望む声が多く、再開の時期を検討していたという「168BAKERY」店主の吉長紀子さん。一方で、「Attena」店主の鶴澤清香さんは、勤めていたベーカリーカフェを退職し、ベーグル専門店の開業を模索していました。もともと面識がなかった2人ですが、鶴澤さんの声かけに吉長さんが応えるかたちで、共同営業が実現。「同じ場所で2人の職人がパンを作り販売する、通常では考えられないことを受け入れてくれた吉長さんの懐の深さに感謝しています」と鶴澤さん。肩を並べて自身の生地を仕込み、おのおののパンを焼き上げる-鶴澤さんは、吉長さんの考え方や接客、店舗運営などに学ぶことが多いといい、吉長さんも鶴澤さんのバイタリティーに刺激を受けているといいます。


吉長さんが焼くのは、「誰もが安心して食べられる」添加物を使わないやさしい味わいのパン。粉はもちろん、野菜やフルーツなど、使う素材はなるべく地元のものをと心がけているそう。再開当初は食パンだけを出すつもりが、常連客から多くのリクエストが寄せられ、現在は約25種類が店頭に並びます。旬のものを使ったり、ふと思いついたアイデアを商品化したりするので、ラインアップは都度変わります。「あのパンがまた食べたい、というお客さんからの要望で復活したパンもありますし、まだ増える予定です」。人を喜ばせるのが好きな吉長さんは、店を訪れる人との会話も大切にしています。


鶴澤さんは、卵やバターを使わない“ベーグル”が専門。むっちり引きのある生地が特徴で、歯切れのよさはありつつも、かむほどに味わい深いベーグルです。そこには「今の子どもたちに、しっかり咀嚼(そしゃく)して食べてほしい」という思いが込められています。「シンプルな生地なので、さまざまな具材を合わせて、おにぎりのように毎日食べてほしい」。その言葉の通り、日によって変わる10~15種類のラインアップには、「肉味噌(みそ)れんこん」や「白胡麻(ごま)鮭明太(めんたい)」など変わりダネも並びます。「作りたいものがたくさんあってワクワクしている」という鶴澤さん。これから生み出される新たなベーグルが楽しみです。

店舗の営業は、「168BAKERY」は10時から、「Attena」は12時から。営業時間も作るパンも異なる吉長さんと鶴澤さんですが、「どちらかのパンを目当てに来店して、もう一方の商品を買われることも多いです」。ここでの共同営業は、鶴澤さんが自分の店をオープンするまでの期間限定。切磋琢磨(せっさたくま)しながら、それぞれが信念を持ち、自分のパンを焼き続ける2人。店を訪ねれば、その熱量を感じ取ることができるはずです。(岩永真理子)
DATA
住/小城市三日月町金田1051-2
電/0952-97-6569(168BAKERY)
営/金・土曜のみ営業
168 10:00-16:00
Attena 12:00-16:00
※いずれもなくなり次第閉店
駐/あり
他/Attenaは当日13時以降ならインスタグラムDMで取り置き可
IG/iroha.168.iroha.168
attena_bagel