能登半島地震の復旧作業が続く中、東日本大震災の発生から13年目の「3・11」を迎えた。阪神大震災や熊本地震など発生からの年月を数える災禍の多さに、改めて地震列島・日本で生きる厳しさを思う◆1年前のこの時期、福島第1原発が立地する双葉町を訪ねた。拠点区域の避難指示が解除された町に戻っていた住民は60人ほど。駅舎をはじめ、公共施設や公営住宅などの再建は進んでいたが、街は生活感のない静けさに包まれていた◆駅のからくり時計は地震発生の午後2時46分を指して止められていた。「動かすべきだという声もあるんですが…」。案内してくれた団体の若い職員は被災地の複雑な思いをのぞかせながらも、「ダルマ市」について笑顔で説明してくれた◆毎年1月に開かれる伝統行事で、商売繁盛を願ってダルマみこしが練り歩く。神楽や巨大ダルマ引き合戦など、多彩な催しでにぎわうという。震災後は有志によって仮設住宅で続けられ、ようやく駅前で復活したとうれしそうに話した◆直近の広報誌を見ると、復活して2回目のダルマ市の様子が表紙を飾っていた。先日は郵便局の再開を伝えるニュースも目にした。「復興した」と過去形でいえる状況ではないが、前へ進んでいる。ダルマのように再起して、活気を取り戻してほしい。その歩みは能登の希望にもなる。(知)
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