鳥栖市のNPO法人が市内の小中学校の教員や保育所の職員らを対象に行ったヤングケアラーに関する意識調査で、ヤングケアラーについて「言葉を知らない」「聞いたことはあるが具体的に知らない」との回答が合わせて45%を占めた。教員や保育関係者には、過剰な家事負担を担う子どもたちにいち早く気付く役割が期待されており、研究者は研修の機会を設けて認知度向上を図る必要性を指摘する。

 調査を実施したのは、NPO法人「しょうがい生活支援の会すみか」。昨年7~8月、市内の市立小中学校教員や民間を含む保育所・幼稚園などの関係者ら1345人に行い、913人(67・9%)が回答した。

 ヤングケアラーについて「言葉を知っており、具体的に内容も把握している」が55%だったのに対し、「言葉を知らない」10%、「言葉は聞いたことがあるが、具体的には知らない」35%で、知らないとする回答は計45%に上った。「言葉を知らない」と回答したのは小中学校で4%、保育所等では17%だった。

 ヤングケアラーに関する研修の有無について、「ある」としたのは全体の9%にとどまった。

 ヤングケアラーに関して法令上の定義はなく、大まかに「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話を日常的に行っている子ども」とされる。こうした現状が認知度に影響しているとみられるが、九州龍谷短大保育学科の鬼塚良太郎教授(50)は研修の不足も調査結果の数字に表れているとみており、「今後改善していくべき」と指摘する。