3~4月に赤や青色など鮮やかな色の花を咲かせるアネモネ。花の直径は4~5センチで、花びらのように見える部分は萼片(がくへん)です。明治初期に日本に渡来し、主に園芸品種として親しまれています。

 アネモネには菊咲きや八重咲きなどがあり、品種は100以上。華やかな見た目ですが汁液は有毒のため触れると皮膚炎を起こします。しかしアネモネの仲間「ニリンソウ」は根茎を薬用とすることができます。生薬名を地烏(じう)といい、リウマチによる疼痛(とうつう)、打撲傷、解毒に効果があります。

 花の名はギリシャ語で風を意味する「anemos」に由来。そしてギリシャ神話では、美少年アドニスを愛した女神が彼の死後に彼の血から深紅のアネモネを咲かせたそう。春風が吹くと彩り豊かに咲くアネモネは、悲しく儚(はかな)い花でもあるのです。(中冨記念くすり博物館)