学力向上策を考えるシンポジウムで、会場からの質問に答える研究者ら=佐賀市の佐賀大本庄キャンパス

 佐賀大教職大学院(大学院学校教育学研究科)によるシンポジウム「佐賀県の学力向上策を考える」が27日、佐賀市の佐賀大で開かれた。同大学院の研究者や県教育委員会の参事らが現状や課題などを報告し、「深い学び」「分かりやすさ」について考えた。

 県教委の県学力向上対策検証・改善委員会の資料では、全国学力・学習状況調査の課題として「情報と情報の関係」(小学国語)、「文と文の関係」(中学英語)などが挙げられている。これらを受けて同大学院の後藤大二郎准教授は「深い学びが本当にできているか」と問題提起した。

 後藤准教授は、県教委が学力向上対策で掲げる取り組みの一つ「学習内容の定着に向けた分かりやすい授業の実践」について言及。「分かりにくいことを考えたり、表現したりする時に、思考力、判断力、表現力を使うものではないのか。何を指して『分かりやすい』授業と言っているのか」と指摘した。

 全国学力・学習状況調査での全国と佐賀県との比較も示された。会場の参加者から「分かりやすいから考えない。考えないから成績上位が少ないのでは」との質問に、後藤准教授は「極端な話をすると、本当は伸びる可能性がある子たちがいるにもかかわらず、授業形態によってそれが阻害されているのではないか、と思うほど危機感を持っている」と応じた。

 シンポジウムには対面約100人、オンライン約30人が参加した。(宮﨑勝)