会見で謝罪する佐賀県吹奏楽連盟の野田亮会長(左)と横尾聖史理事長=27日午後7時ごろ、佐賀市文化会館

 佐賀県吹奏楽連盟は27日、事務局の会計担当の60代女性が連盟の預金などから約1300万円を横領したと発表した。女性は交流サイト(SNS)を通じた詐欺的投資に用いるために流用し、連盟に自ら報告して発覚した。連盟は既に懲戒解雇にしていて、今後返還を求める。

 連盟は県内の小中高校や大学、一般の吹奏楽団95団体でつくる任意団体で、各団体から徴収する加盟費や大会の参加料などで運営している。

野田亮会長や横尾聖史理事長らが同日、佐賀市内で会見を開いて経緯を説明した。

 連盟によると、女性は2012年からパート雇用で1人で会計事務を担当していた。昨年5~9月、金融機関から20回にわたって計約1300万円を引き出した。SNSを通じた知人から持ちかけられた投資や先物取引に応じ、「手数料を支払わないと利益を出金できない」と言われて連盟の預金から充てるなどしていた。返済するために投資を続けて流用を重ねたという。

 女性は投資の利益を得られず、投資金も回収できなかった。警察には相談していないという。昨年11月、連盟に横領に関して自己申告し、同12月26日付で懲戒解雇になった。「自分の考えが浅はかで後悔している。償っていく」などの謝罪文を連盟に提出した。

 会見で野田会長は「このような事態を防ぐことができず、大変申し訳ない」と陳謝した。刑事告訴は返済を優先し、留保する。通帳管理の見直しや一定額以上の支出の際に責任者の決裁を求めるなどして再発防止を図る。2024年度の連盟の事業は通常通り実施する方針を示している。(中島幸毅、花木芙美)