新年の幕開けが震災という衝撃。直後から自衛隊や自治体をはじめ、たくさんの方々が昼夜問わずに災害支援に当たっていることに頭が下がる。医療従事者も災害派遣医療チーム(DMAT)として現地入りしている方も多い。
医師になって最初の冬に東日本大震災が発生し、3月11日の夜には職場でDMATが編成された。メンバーと医薬品のみならず、ガソリン、食料などまで車に載せるので大荷物だった。メンバーには救命センターの精鋭たちが選抜されたが、後に「まず現地に着くまでに相当な時間がかかり、活動する時間は限られてしまった」と聞き、災害支援の難しさを垣間見た。
今回の能登半島地震の直後から「不要不急で現地に行かないで」と注意喚起されたが、支援しようとして邪魔になっては本末転倒だ。
災害支援は現地に行くことだけではない。熊本地震の際、佐賀県が患者を受け入れたように、近隣で被害の少なかった病院が治療を請け負うのも支援だ。そして受け入れる病院のベッドを空けるための後方支援を、われわれのような回復期病院には求められる。
またDMATを拠出した病院は、メンバーが抜けた穴を埋めるべくシフトを組み直すなど、他のスタッフの協力も欠かせない。
さらに被災地に医療資源を集中させるため、他の地域で医薬品などが品薄になることもある。処方薬が本当に必要か、代替薬で対応できないか、などを検討するのも間接的な支援になる。
そして支援の基本は募金! 人や物を動かすよりも金を動かす方が一番経済的だ。
杉良太郎さんが長年続けている福祉活動を売名だと批判された際に「はい、売名ですよ。僕が今までやってきたこと(数十億円を自腹など)、あなたもぜひやってみてください」と言われたのに感銘を受けた。
支援する側の生活が成り立たなくなるほどの活動は続かない。杉さんレベルには遠く及ばないが、持続可能な支援を続けていきたい。
(佐賀リハビリテーション病院 副理事長 吉原麻里)