交通量が多い国道34号。追突事故対策が課題となっている=佐賀市のSAGAアリーナ前交差点付近

 佐賀県内で2023年の1年間に発生したけが人などを伴う交通事故(人身事故)は3144件(暫定値)で、前年より94件(2・9%)減少したことが県警のまとめで分かった。減少したのは10年連続となった。人口10万人当たりでは392・5件で、都道府県でワースト4位となる見通し。死者数は全国最少の13人だったが、事故は依然として多い傾向となっている。

 県警交通企画課によると、人身事故の内訳は追突が1295件(41・2%)で最も多く、次いで出合い頭の768件(24・4%)。追突事故の半数以上は国道で発生していて、時間帯別は午前7時台が最多の276件で、午前8時台303件、午後5時台285件と続いた。

 追突事故の原因は前方不注意が999件で、全体の77・1%を占める。追突事故を起こした原因者を世代別に見ると、20代の362人(28%)が最も多くなっている。同課の上原且麻管理官は「体力のある若い世代は、気の緩みから運転時にスマートフォンの操作などをして事故を引き起こすケースが目立つ」と指摘する。

 人口10万人当たりの件数で佐賀県は2017年に全国ワーストを脱却したが、以降もワースト2~4位となっている。死亡事故は12件発生し、亡くなった13人のうち9人は65歳以上だった。

 県警本部でこのほど開かれた定例会見で、田中真樹交通部長は「人口当たりで見ると事故は依然として多く、厳しい状況」との認識を示した。県警は、右左折時に合図を出さなかったり車間を詰めたりするのを「よかろうもん運転」と呼んで撲滅に力を入れている。引き続き広報活動や交通取り締まりの強化、交通安全教育などの対策を進めていく。(上田遊知)