半導体産業が集積する「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けて機運を醸成する「SAGA半導体戦略シンポジウム」(佐賀県主催)が8日、佐賀市で開かれた。専門家や関連企業の代表者らが、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出などを受け、県内企業の活躍の場の拡大や地域活性化について意見を交わした。
シンポジウムでは、九州での半導体関連の設備投資額は、公表分で74件2兆5500億円に上ると報告があり、日清紡マイクロデバイスAT(吉野ヶ里町)の末吉裕明社長は「材料や設備のメーカーも多く来ていて、2次サプライヤーとして佐賀の企業が活躍する場があると期待している」と話した。
地域への影響について、伊万里市などに工場があるSUMCOの龍田次郎副社長は「従業員が増えると飲食や宿泊の需要も増え町が活性化する」と発言。田口電機工業(基山町)の田口英信社長は、企業進出で新たなサプライチェーン(供給網)が生まれることを歓迎しつつも「中小企業の人材不足に拍車がかかっている点にも目を向けて」と意見した。
講演では、微細加工研究所(東京)の湯之上隆所長が、次世代半導体の国産化を目指すラピダスに関して半導体を微細化する技術の土台がなく、技術者が不足していることなどを指摘。それを踏まえて「日本は、強みがある半導体材料の分野を守り強化すべき」と主張した。(北島郁男)