全国の刑務所や少年院などの矯正施設でコンサートを開き、「受刑者のアイドル」と呼ばれるPaix2(ペペ)が2日、鳥栖市の麓刑務所を訪れた。受刑者約160人を前に、メンバー2人が「社会復帰への心のスイッチを押したい」との思いを込めて熱唱した。
Paix2は、鳥取県出身のManamiさん、Megumiさんによるデュオ。2001年にデビューし、刑務所などでのコンサートは500回を超える。保護司の資格も持つ2人の活動への評価は高く、本年度の日本PR大賞シチズン・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
同刑務所は九州で唯一の女性専用の刑務所。Paix2のコンサートは13年ぶりで、受刑者はポンポンを作り、気持ちを高めてコンサートに臨んだ。運動の時間に流されるオリジナル曲「元気だせよ」が演奏されると、一緒に歌ったり体を動かしたりして楽しんだ。曲の合間に、Manamiさんが出所した元受刑者からの手紙や家族からのメールを紹介すると、涙を流す姿も見られた。
受刑者からは「以前の外の生活を思い出し、前向きに頑張ろうと思った」「どう更生していくべきかを考えさせられた」との声が聞かれた。宮崎勝也所長は「職員だけでは与えられない希望をもらった。矯正教育の一環として連帯感を得られたと思う」と2人に感謝した。
Manamiさんは「コンサートを聴いて、自分の家族や被害者遺族のことに思いをはせ、社会復帰につなげてほしい」と期待した。(上田遊知)