多久聖廟を描いた鉛筆画に、現場で撮影した映像を投映して“着色”した作品

「祝祭にふさわしい舞台にしたい」と語るヤマガミユキヒロさん=佐賀市の佐賀新聞社

 現代アートと能楽を融合させた新しい舞台「noh play(ノープレイ)」が2月10日、多久市中央公民館で上演される。世界的に活躍する現代アーティストのヤマガミユキヒロさん(47)=大阪府=が、多久聖廟を描いた鉛筆画を舞台背景に用いて、京都の神社にちなむ演目「賀茂」をアレンジした新作を披露する。

 建物や風景を鉛筆や墨で描き、その上に同じ視点から撮影した映像を投映するヤマガミさん考案の「キャンバスプロジェクション」技法で、時の移ろいを表現する。今回の「noh play」では観世流能楽師の林宗一郎さんを京都から招く。演目は「賀茂」をベースに、多久聖廟で300年以上にわたって受け継がれてきた「釈菜(せきさい)」の儀式も取り入れるなど、多久と京都を結ぶ独自の脚本に仕上げている。

 ヤマガミさんはこれまでに、東京駅復原工事完成記念展(東京ステーションギャラリー)をはじめ、川崎市岡本太郎美術館、藝倉美術館(中国・上海)、ビクトリア国立美術館(オーストラリア)などで作品を発表してきた。佐賀県内では、県庁展望ホールの「星空のすいぞくかん」や、県立博物館の「建築の建築~日本の『建築』を築いた唐津の3巨匠展」に参加している。

 舞台準備のために来佐したヤマガミさんは「映像を絵の具のように用いて鉛筆画に“着色”することで、時間の流れを表現できる。多久聖廟は市民のみなさんにとって大切なシンボルでもあり、この場所から次の世代へつなぐ物語を始めたい」と話す。多久市の市制施行70周年の記念事業で、佐賀県文化芸術祭“LiveS Beyond2”の事業にも採択されている。

 当日は午後2時開演。チケットは全席自由で、前売り一般2千円、高校生以下500円、当日は各500円増し。チケット予約は多久市役所教育振興課文化スポーツ係、電話0952(75)8022。(古賀史生)