JA女性部が食農教育の一環で企画した「おむすびワークショップ」に、保育所の栄養士が感想を寄せた。「最近の子どもたちは、おむすびを握る加減が分からなくなっている。手で持って食べられず、皿に載せて箸で食べる。人が握ったものは不潔で食べられないという子どもも増えてきた」◆都市部ではなく、水田が広がる佐賀県内の話である。ワークショップを開いた女性部員は「おむすびはコンビニで買うものになっている。栄養士の話は衝撃的で、だからこそ食農教育に取り組む必要がある」と報告していた◆阪神大震災(1995年)が発生した1月17日は「おむすびの日」になっている。ボランティアの炊き出しで多くの被災者におむすびが届けられたことから、主食であるコメの重要性や人と人との結びつきの大切さを再認識してもらおうと制定された◆身の回りは食べ物があふれ、何でも買える豊かな時代である。それはとてもありがたいことだが、慣れきってしまうと栄養士が憂うような状況になる。被災した人たちにとって、誰かが握ってくれたおむすびがどれほどうれしかったか。それが分からなくなっては寂しい◆能登半島地震の被災地では多くの人が避難生活を続けている。おむすびは届いているだろうか。人と人との心を結ぶ大切さを思う「おむすびの日」だった。(知)

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