2023年の佐賀県の交通事故死者数は前年より10人少ない13人(速報値)で、全国47都道府県で最も少なかった。佐賀県警によると、統計がある1948年以降で最も少なく、10人台になったのは初めて。全県的な事故防止の取り組みが定着してきたことなどが要因とみている。
全国の警察が公表している資料によると、昨年12月27日現在で事故の死者数(速報値)が佐賀県に次いで少ないのは鳥取県14人。福井県19人、島根県21人と続いていた。
佐賀県内では2014年に56人が死亡していて、人口10万人当たりで全国ワーストだった。翌15年から県など関係機関が緊急プロジェクトを始め、「ワースト脱却」を掲げて交通ルール順守やマナー改善に向けた施策が進められてきた。
県内で死者数が最も多かったのは1971(昭和46)年の180人。昭和30年代以降、「交通戦争」と呼ばれた時期もあり、昭和40年代ごろには年間150人以上が死亡していた。近年は大幅に減少、20年は33人にとどまり、21年は23人で71年ぶりの20人台となった。22年も23人だった。
一方、昨年12月には県内で4件の死亡事故が立て続けに発生し、「交通死亡事故多発警報」が出された。佐賀市諸富町の交差点で発生した介護施設の送迎車の事故では、利用者2人が亡くなった。
県警は、引き続き事故総数の抑止を進める。県内で多い追突事故防止へ、スマートフォンを使いながらの運転や、車間距離を詰めすぎるなどの「よかろうもん運転」の根絶を掲げている。(中島幸毅)