2010年2月に破産した武雄市の老舗旅館「花月」が「花月大正館」として生まれ変わり、28日にオープンした。施設を所有する福岡市のマンション管理・販売会社が建物を全面的に改修。武雄温泉のシンボルである楼門前に、新たな宿泊施設としてお目見えした。
マンション管理・販売会社「リアリティマネージメント」(早川和利社長)が、西九州新幹線開業前の21年末から改修工事を始めた。客室のあった本館は取り壊し1階はリビング、2階が寝室のメゾネットタイプの個室を12部屋備えた宿泊棟を新設した。
敷地内にある1918(大正7)年建設の純和風建築の「大正館」は食事処(どころ)として復活させた。旅館の正面玄関も兼ねており、フロントには足湯を用意して湯に足を浸しながらチェックインの手続きができる。2階にはバーと茶室、ラウンジを設け宿泊客以外も利用できるようにした。
客室には全て温泉風呂(4部屋は露店風呂)があり、庭には全長約20メートルのプールとサウナも設置する。館内にはかつて花月が所有していた約200点の陶磁器や彫像、掛け軸などの骨董(こっとう)品が置かれ、施設のコンセプトである“和モダン”な雰囲気を演出している。
早川社長は「歴史のある建物を生かすために工夫を凝らし、開業まで時間がかかった。地元の人や外国人観光客にも大いに利用してもらいたい」と話す。申し込み、問い合わせは電話0954(27)7300。(澤登滋)