佐賀県内唯一の百貨店「佐賀玉屋」(佐賀市中の小路、田中丸雅夫社長)が経営不振により京都府の不動産会社に全事業を譲渡することが11日、関係者への取材で分かった。午後に正式発表する見通し。佐賀玉屋の名称のまま百貨店は継続し、パートを含む従業員140人の雇用も維持する。来年以降、耐震性が問題となっていた本館の建て替えに着手し、その間は売り場を南館に集約して営業を続ける。90年の歴史を誇る老舗百貨店が新たな姿で再スタートを切る。

 佐賀玉屋は、最盛期の1996年度に165億円を売り上げたが、2000年以降、佐賀市郊外への大型商業施設の進出が相次いだ影響などを受けて15年2月期には売上高が81億円とピーク時から半減。その後も減少傾向で新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけ、23年2月期の売上高は約46億円に落ち込んだ。

 17年には、本館が県と市の大規模建築物の耐震診断結果で、震度6強以上の大規模地震で倒壊または崩壊する危険性が高いと判断された。耐震化工事も大きな負担となり、地方の百貨店としての転換期を迎えていた。

 事業譲渡先は総合不動産会社「さくら」(京都市、浅井政則社長)。不動産売買のほか、ホテルや飲食事業も手がけている。佐賀玉屋については老朽化した本館を取り壊した後、新たにビルを建設する。関係者によると、詳細な建て替え時期は未定だが、新しいビルは百貨店の売り場だけでなく、オフィスビルやホテルなど複合的な形態が検討されているという。

 佐賀玉屋の負債は数十億円規模で、メインバンクの佐賀銀行などが支援するとみられる。

 佐賀玉屋は10日の営業終了後、従業員らに事業譲渡について説明した。参加した従業員は「これまでそういう話は耳に入ってこなかった。経営者が変わる、建て替えるといった大まかな内容で具体的ではなく、まだよく分からない」と話した。11日も株主や従業員に経緯を説明する。来年1月以降に株主総会を開き、正式に譲渡が決まる予定。田中丸社長は退任する。

 佐賀玉屋は1806年、小城市で創業した。1933年、佐賀市呉服町(現在の呉服元町)に百貨店を開店し、65年に現店舗に移転した。