< 海苔弁 一番乗り >

「さがん海苔弁 元祖」(1100円/当面は1050円)。しば漬け入りのタルタルソースも手作り。注文を受けてから作るので、できたてを食べられるのもうれしい

 白ご飯におかか、海苔(のり)、白身魚のフライ、ちくわ天、きんぴら・・・定番だけど、定番だからこそ、時に無性に食べたくなるーそんな“海苔弁”の専門店が、佐賀市大和町にオープンしました。同町出身の志波正人さんが、米や海苔はもちろん、ちくわや野菜、豚肉、卵まで県産にこだわった、佐賀ならではの海苔弁を手作りしています。近年、首都圏などでは続々とオープンしているという海苔弁専門店。「米も海苔もおいしい佐賀県こそ、専門店があっていいのではないかと思ったんです」と志波さん。約2年をかけて出店の準備をしてきました。

マックスバリュ尼寺店すぐそば。店舗横に駐車場あり(進入は裏から)

 看板メニューは、「さがん海苔弁 元祖」。県産さがびよりの上に、有明海産の極上の海苔を敷き、肥前さくらポークのみそ漬け焼き、馬郡蒲鉾(佐賀市)のちくわを使った磯辺天、白身魚のフライ、県産野菜のきんぴらをのせます。横には大和町産卵で作るだし巻きと自家製の漬け物も。海苔は別にもう1枚添え、ご飯になじんだやわらかな海苔と、パリパリの食感と香り、両方を楽しめるようにしています。

 ちょっとぜいたくをしたいときには「さがん海苔弁 華」(1600円/当面は1500円)をぜひ。こちらは、自家製ジャポネソースを添えた佐賀牛ステーキや、肥前さくらポークの西京クリームチーズ焼き、県産季節野菜の天ぷらなどをのせた豪華版です。前日までの予約が基本ですが、当日対応可能な場合もあるので、問い合わせを。ご飯450gに鶏の唐揚げやエビとちくわの天ぷら、ナポリタンなどのおかずを詰め込んだ「海苔弁 豪」(1100円)は、ボリューム重視の人でも満足すること間違いなしです。

 このほか、手軽な価格の「手作り日替わり弁当」(650円/数量限定)や「鶏の唐揚げ弁当」(650円)、「てごねハンバーグ弁当」(750円)、天むす、みそ汁、豚汁なども販売。すべて手作りで手間もかかりますが、志波さんは「何度利用しても飽きないように工夫しています」とほほ笑みます。

店内にはイートインスペースもあり、今後はランチの提供も考えているという

 志波さんが飲食の仕事を志したのは小学生のとき。授業の一環で大和町内の米農家を訪れ、米の収穫から調理実習までを経験することにより、料理を作る楽しさや、食べた人が「おいしい」と笑顔になる喜びを知りました。そこから飲食チェーンや他業種での仕事を経て行きついたのが海苔弁。「弁当箱ひとつの中で、佐賀が表現できると思いました」。その根底には、今までお世話になった家族や友人、地元・大和町の人たちに恩返しをしたいという思いがあります。米は、小学生のときに農業体験をさせてくれた農家から仕入れているのだとか。

店主の志波正人さん。「自分が食べるのも好きですが、自分が作ったものを誰かに食べてもらう方がもっとうれしい」。地域の子どもたちに向け、食育にも取り組んでいきたいとのこと

 縁を大切にする志波さんは、今春から店とは別に、「佐賀ばたすくっプロジェクト」という取り組みをスタート。飲食店をはじめ、さまざまな業種の人たちと手を組み、コラボメニューを開発したり、イベントに出店したり、SNSで発信したり、「佐賀を盛り上げたい」と精力的に活動しています。

 佐賀の“おいしい”を詰め込んだ「海苔弁」。そこには、佐賀を、自身の生まれ育った町を、生産者を思う志波さんの熱い気持ちもたっぷり入っています。(岩永真理子)

DATA

住/佐賀市大和町尼寺1485-5
電/0952-20-1637
営/11:30-18:00
休/月曜
駐/あり
IG/ichibannori2023 
他/予約はDM(前日まで)もしくは電話
  オードブルや予算に応じた弁当の注文、配達も相談可

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