シマカンギク

 キク科キク属、寒菊の原種といわれるシマカンギクは日当たりのよい山地に生え、10~11月ごろ直径2・5センチほどの黄色の頭花をつけます。別名のアブラギクは江戸時代、長崎で花を油に漬けて傷薬として使用していたことから名付けられました。

 全草を日干しにしたものが野菊(やぎく)、頭花を秋に採取し乾燥させたものが菊花(きくか)という生薬として知られ、いずれも解熱、解毒、鎮痛薬として、感冒、胃腸炎、高血圧症、湿疹などに用いられます。菊花は2千年前の中国最古の薬物書『神農本草経』に収載されており、味が苦く目の充血や頭痛などに効果があると紹介されています。

 2002年に開園した当館の薬木薬草園ではシマカンギクを育てていましたが、現在は花が白い「シロシマカンギク」という品種を見ることができます。(中冨記念くすり博物館)