薄暮時の交通事故が増えやすい時期に合わせ、佐賀県内の高齢者を対象にした交通安全教室がこのほど、佐賀市のメートプラザ佐賀であった。各地区の交通安全協会のメンバーら約30人が、事故のリスクを体感できる最新機器を使いながら道路横断時の注意点などを確認した。
仮想現実(VR)技術を使った県警のシミュレーターで、信号のない横断歩道で手を上げるなどハンドサインを出して車を停止させ、渡り終えるまでを実践した。暗い時間帯の設定では、車の陰から出てきたバイクや自転車とぶつかりそうになる場面もあり、福田勝一さん(77)=吉野ヶ里町=は「改めて事故の怖さを思い知った」と話した。
県警交通企画課の島内幸将課長補佐は「10月末時点で、県内の交通死亡事故は過去最少を更新するペースだが、昨年は10~12月だけで11人が亡くなり、そのうち6人が高齢者」と指摘。夕暮れが早まり事故が増える傾向にあるとし、反射材の利用や横断時の念入りな確認を呼びかけた。
2019年までは高齢者の自転車競技大会を開催してきたが、新型コロナ禍や事故状況などを踏まえ、今回は交通安全教室として実施した。(志垣直哉)