佐賀市で生まれ育ち、2016年にテレビ東京に入社以降、数々の番組で活躍するアナウンサー・片渕茜さん。仕事とどう向き合い、地元佐賀をどんな風に思っているのか―。職業柄、「人に質問することはあっても、自分について話す場面はほとんどない」と笑う片渕さんに、その思いを語ってもらいました。

―なぜテレビ局に?
物心ついたときから歌やダンスが大好きで、子どもの頃は佐賀市の「ティーンズミュージカルSAGA」に所属していました。人前に立って表現をする仕事がしたいと思っていたところ、大学在学中にKBCの番組「アサデス。」などに関わる機会に恵まれ、スタッフの人たちに進路相談をしたら「アナウンサーとかいいんじゃない」と。そこから本格的にアナウンサーを志すようになりました。
―入社して8年。振り返って
新人の頃は毎日が緊張の連続で、すぐにおなかが痛くなっていました(笑)。一番緊張したのは、自分一人で初めて定時のニュースを読んだとき。フォローしてくれる先輩アナウンサーもいないし、失敗したら絶対に自分で取り返さないといけないというプレッシャーがありました。がむしゃらに目の前の仕事に取り組んできて今思うのは、声を使う仕事は自分に合っているし、やっぱり楽しい。今後は海外で取材できる機会が増えたらいいですね。
―アナウンサーの舞台裏
各テレビ番組では常にカメラの位置やアクセント、時間の尺などを意識して、ゲストからはどんな話を聞きだそうとか、いろいろなことに思考を巡らせながらやっています。ただニュースを読んでいるだけのように見えて、意外とマルチタスクなんですよね。取材相手を調べたり、業界のことを勉強したり、事前準備も重要です。
月、火曜のキャスターを務める「Newsモーニングサテライト」は、マニアックな経済番組。証券会社の人と同じレベルで話せるほどの高い専門性が求められるので、マーケット情報なども毎日チェックしています。
ちなみに私はプライベートでも取材癖が出て(笑)、会う前に相手のSNSを見たり最近の仕事内容を確認したり、いろいろ準備をしちゃいます。自分の話をしたい人は多いですが、「聞く力」って大切だと思います! 自分の話を楽しそうに聞いてもらえるのってうれしいですよね。

―佐賀弁でニュース
テレビ東京のYouTubeチャンネルの企画で、佐賀弁でニュースを読んだ際は、佐賀や九州に縁のある人たちが喜んでくれて、想像以上の反響がありました! テレビでは共通語を話さないといけないのでおさえていますが、佐賀にいる両親や友人と話すときは佐賀弁に戻ります。
―テレビで伝えたいこと
アナウンサーとしての一番の使命は、自分の声と言葉で、災害時になるべく多くの視聴者に命を守るための行動を促すことだと思っています。どんな言葉なら危機感を持ってもらえるか、分かりやすいか。各種警報を説明するとき言葉にどう違いを持たせるか…。人の命に関わるという責任感を持ち、いつでもベストな対応ができるように常に考えています。
―地元・佐賀への思い
佐賀は私にとって原点に返れる場所であり、エネルギーをもらえる大事な場所。普段はカメラ越しで情報を伝えているので、視聴者の声を聞く機会がないのですが、佐賀に帰ると「いつも見ているよ」と声をかけてもらえる。応援してくれる人がこんなにいるんだと実感して、あしたからまた東京で頑張ろうって思えます!
profile

片渕 茜(かたふち・あかね)
■1993年、佐賀市生まれ。致遠館高校、西南学院大学卒業。2016年テレビ東京に入社し、アナウンサーに。人気番組「開運!なんでも鑑定団」「出没!アド街ック天国」などを担当。番組やYouTube、SNSなどで時折披露する佐賀弁が話題を呼んでいる。