明治42(1909)年に撮影された初代の馬神トンネル(個人蔵) 

 多久市と武雄市北方町との境、馬神峠にある県道24号武雄多久線の馬神トンネルは、現在までに3本建設されています。

 最初のトンネル(隧道・ずいどう)は明治21(1888)年6月に完成し、11月から使用されました。車力(大八車などを引いて荷物を運搬する人またはその車)や馬車などが頻繁に往来し、地元の人々の暮らしに大きく貢献しましたが、峠の上部に造られたことからトンネルまで急な坂道が続き、かつ急カーブが多く、トンネル入り口には車夫たちの休憩所として茶店が設けられていました。

 大正期に入るとトラックで物資の運搬が行われるようになったことから、大正15(1926)年4月、旧トンネルの北方約50メートルの場所に新しいトンネルを掘る工事が着工しました。新トンネルの総工費10万円のうち、1万5千円を多久出身で「肥前の炭鉱王」と呼ばれた高取伊好(これよし)が寄付しています。新しいトンネルは昭和3(1928)年4月に竣工し、便利になったトンネルを通って杵島炭鉱などへの行商が行われました。

 平成10(1998)年4月3日、2番目のトンネルの西側に3番目となる現在のトンネルが完成しました。長さ440メートル、幅11メートルのトンネルは大型車も通行でき、交通の要衝として多くの車が行きかっています。(多久市郷土資料館 志佐喜栄)