織田精肉店のシャッターに作品を描いたアキさん。店舗の要望に応え、看板犬がデザインに盛り込まれている=多久市北多久町の京町商店街

 多久市の商店街や民家の壁、シャッターを絵で彩る「市ウォールアートプロジェクト」が、100作品の完成を目指して再び動き出した。県外のアーティストらが市内を訪れて個性あふれるアート作品を制作。市は民間でつくる実行委員会とスクラムを組み、「アートのまち・多久」の実現に意気込む。

 プロジェクトは街なかに明るさとにぎわいを生み出そうと2015年に始まり、これまでに県内外のアーティストが31作品を描いている。予算面と新型コロナウイルス禍の影響で取り組みは一時停滞したが、市は本年度から26年度までの4カ年計画で「ウォールアート推進事業」を展開。既存作品を含めて100作品まで増やす計画だ。

 10月末に再始動すると、鹿児島、大分、埼玉県から訪れた3人が、JR多久駅南の公衆トイレや商店、民家の壁など5カ所に作品を描いた。まちづくりに取り組む一般社団法人たく21に加え、新たに立ち上がった「ウォールアート実行委員会」が、アーティストの招へいから物件所有者との交渉まで担った。

 埼玉県などでスプレーアートのパフォーマンスを披露するアキさん(35)は、市中心部の京町商店街にある「織田精肉店」のシャッターにスプレーアートを完成させた。アキさんは「ウォールアートに取り組む自治体はあるが、多久のように家主らとの交渉まできめ細かくやってくれるところは少ない。多久の取り組みをアーティスト仲間にも発信したい」と話す。

 アキさんらの協力もあり、新たなアーティストとの交渉も進んでいる。実行委の富永邦久委員長(75)は「来年3月までに20作品を目標にしている」と話し、市中心部から他地区への拡大を思い描く。市商工観光課の中村茂課長は「地域の活性化にとどまらず、“もうかる”まちづくりにつながれば」と将来を見据える。(市原康史)