「もしものせかい」ヨシタケシンスケ/赤ちゃんとママ社

 ネコにさらわれた人形が、持ち主の少年に「もしものせかいに いくことになりました」と告げる。人形がこれから向かう「もしものせかい」とは―。

 「あれがうまくいっていたら」「あっちを選んでいたら」「あの人がそばにいたら」。誰しも一度は考えるであろう「もしも」をテーマに、絵本作家・イラストレーターのヨシタケシンスケさんが描き出す。多くのヒット作を生み出す彼の「初めて誰かに依頼される前に生まれた物語」だという。

 ”たられば”を考えているとき、多くの人は後悔や悲しみ、不安などの負の感情が結びついていることが多いだろう。しかしこの本は「もしものせかいは、自分だけのエネルギーのかたまり」とし、それらを考えることを肯定してくれる。後悔なども含めて今の自分なのだと気づかせてくれる。子ども向けの絵本だが、人生経験を重ねる中で、苦悩や葛藤(かっとう)もたくさんしてきたであろう大人にこそ読んでほしい。

 あなたの中で「もしも、あのとき」と思うことがあったらぜひこの本を開いてみてほしい。ちょっとだけ、見え方が前向きに変わってくるかもしれません。(赤ちゃんとママ社/990円)
(コンテンツ部・池田知恵)