―誰かに笑われても、私はこの世界で背筋を伸ばして歩き続ける。
陰口や嫌み、マウントといった日常の悪意やストレスを、OL・白川さんが持ち前のポジティブ精神と笑顔でかわしていく。その明るさが、自身だけでなく周囲の人間の心も救う様子が描かれる。
彼女のポジティブさはもちろん、登場人物たちが抱える悩みに対して共感できるポイントが多いのも魅力の一つ。身長や体形など外見のコンプレックスや人間関係のことなど、さまざまな悩みが描かれ、そのどれもが「分かる…」とうなずいてしまう。特に、会社の後輩・林檎(りんご)ちゃんの「嫌な出来事を反すうしてしまう」という悩みを打ち明ける回があるが、私も同じ悩みを抱えていてかなり共感できた。そしてその悩みに対して「何度も何度も悩んできたことは無駄なんかじゃないし、それがいつか養分になってくれるんじゃないかなあ」という一言が優しくて、涙が止まらなかった。作中で出てくる言葉一つ一つや、悩みを否定せずに寄り添う白川さんの姿勢がとても温かく、本を開くたびに思わず泣いてしまう。
ストレスが多い現代社会。そんな中で一日生き抜いたことが素晴らしいのだと、この作品は教えてくれる。だから大丈夫、あなたはきょうもすてき。(KADOKAWA/1210円)
(コンテンツ部・池田知恵)