佐賀県は、デジタル技術の活用で新たな価値を創造するDX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマにした川柳コンテストを開く。「チャットGPT」など対話型人工知能(AI)を活用した作品も受け付ける。著作権侵害の問題などが懸念されるが、主催側のチェックは難しいといい、作者が責任を持って取り組むよう定める。リスクはあるものの、AI活用の裾野拡大や経験の蓄積に重点を置いた格好だ。
コンテストは13日から来年1月31日まで、「あなたの身近なDX」をテーマに1人3句まで申し込むことができる。優秀作品は来年3月19日に開くビジネス関連のイベント「SAGA INNOVATORS TALK LIVE」で発表する。AI活用の最高賞を「AI brain(ブレイン)賞」として表彰する。人が考えた作品に「Human(ヒューマン) brain賞」、総合的に面白かった作品に「Best(ベスト)brain賞」を贈る。
AIを活用した作品は、第三者が有する知的財産権などの侵害を行わないようにしてもらい、トラブルが生じた際は応募者の責任で解決するよう求めている。県産業DX・スタートアップ推進グループは「侵害がないか調べるのは不可能に近く、作り手(の良心)に委ねたい」と指摘する。
県産業スマート化センターの専用ページから日本語で申し込む。作品はメディアで紹介する予定で、著作権と掲載権は県に帰属する。「AIで川柳をつくるには細かい設定が必要で、結構難しい。実際に使ってもらうために、あえて今回の形式にした」と説明する。
生成AIの使用を認めた自治体主催のコンテストは、群馬県で映像作品の公募展や漫画、アニメ、イラストのコンテストの実施例がある。AI使用の情報を自主申告してもらう形式で佐賀県と同様に応募者の責任に委ねる対応となっている。(大田浩司)