休憩所がオープンした20日は、多くの地域住民らが食事を楽しんだ=唐津市厳木町天川

2015年に閉校した厳木小天川分校。地元の有志によって休憩所に生まれ変わった

けんちん汁にとろみを付けた「田舎うどん」と天川産のコシヒカリを使ったおにぎり

 2015年3月に閉校した唐津市厳木町の厳木小天川分校の校舎が、地域の「休憩所」として生まれ変わった。週2日校舎の一角を開放し、地元の食材を使ったランチも提供する。住民有志が運営し、交流の場をつくることで地域に活気を生み出したい考えだ。

 有志による「山紫水明の里天川ふるさとの会」が昨年4月、分校の利活用を市教育委員会に申し出て、今年5月の定例教育委員会で教育財産を廃止し、市に管理替えする議案が可決された。標高約600メートルにある天川地区の人口は約100人。本年度は小中学生がおらず、少子高齢化が進んでいる。

 毎週金、土曜の午前10時~午後3時に、1階の教室を「やまの休憩所天の川」として開放する。食事は給食室で調理し、隣接するランチスペースで午前11時半~午後2時に提供する。うどんは田舎、きつね、カレーの3種類を用意し、天川産のコシヒカリを使ったおにぎりも味わえる。オープンした20日は、多くの住民がランチを楽しんだ。

 田舎うどんは地元の野菜をふんだんに使ったけんちん汁にとろみを加え、冷えた体を温める。調理を担当する山田邦子さん(65)は分校の卒業生で、給食調理員として母校で勤務したこともあった。「このようなかたちで育った地域に貢献できてうれしい」と笑顔を見せる。

 代表の草場久光さん(66)は「家に1人でいるのではなく、懐かしい場所に集まって会話を楽しむことで元気が生まれる。無理なく、長く続けていきたい」と話す。(松岡蒼大)