「夕方になると、佐賀駅北側の電線に鳥の大群がいる」。佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)にそんな投稿が相次いで寄せられた。鳴き声がうるさいという苦情のほか、佐賀県での国民スポーツ大会の開催を来年に控え、ふん害や県都の玄関口として印象が悪くならないかと心配する人も。現場に向かった。
現場は佐賀駅北で長崎線の高架と並行する市道「駅北通り」。歩道には大量の鳥のふんが落ちていた。夕方になると、150メートルほどの電線に小さな黒い影が集まってきた。数千羽か、それ以上か…。「キャーキャー」「ジャージャー」といった鳴き声が夕暮れのまちにこだましていた。
道行く人は頭上を気にし、電線の真下を避けるように歩く。そばのビルから出てきた仕事帰りの女性は「いつも夕方の午後6時前に『帰ってくる』。ふんが目の前に落ちてくるので、傘を差して走って行く人もいる」と困り顔だった。
「黒い影」の正体について佐賀市道路整備課は「恐らくムクドリだろう」と話した。夏から秋にかけて現われるといい「街路樹の刈り込みのほか、電線に対策をしてもらっているが、あまり効き目がないようだ」と頭を悩ませる。ふん害については近隣住民から苦情が寄せられているものの、「掃除しても一日で元通りになってしまう」と話す。
ムクドリの大群を巡っては、全国の都市部を中心にしばしば問題になっている。いずれも競技用ピストルなどの大きい音や強い光、タカの放鳥などが試されているが、解決は容易ではなさそうだ。
日本野鳥の会県支部の宮原明幸支部長は、ムクドリについて「昼も群れて畑などで虫を食べているが、夕方になると大群をつくる。夜は街路樹に入るのでは」と話す。ねぐらに関しては「背後に壁がある場所を好むとも聞く」という。鳥よけについても「鳥たちも学習する。害がないと分かれば平気」と指摘する。
市や近隣住民によると、大群は昨年も見られ、10月中にはいなくなったという。(志垣直哉)