豚熱の発生が確認された2例目の養豚場で、殺処分作業を進める関係者ら=1日午前8時35分、佐賀県唐津市(共同通信社ヘリから)

 唐津市の養豚場で家畜伝染病の豚熱(CSF)の感染が確認されたことを受け、農林水産省は1日、佐賀を含む九州7県全てをワクチン接種の推奨地域として追加で指定する方針を決めた。ウイルスの感染から長期間が経過していることや、九州の養豚業の結びつきが強いことなどから感染リスクが高まっていると判断した。来週にも正式な通知を出す。

 専門家らでつくる牛豚等疾病小委員会を開き、対応を協議した。現在、九州と北海道を除く39都府県が豚熱のワクチン接種推奨地域となっており、九州が加わることになる。

 推奨地域の設定後に各県がスケジュールや対象の頭数などを定めた接種プログラムを策定、農水省の確認を経て、各知事が接種命令を出す。ワクチン代の半分を国が補助する。

 小委員会の会合では、現時点で感染経路が特定できていないことなどが報告された。その上で、▽抗体を持つ陽性の豚が確認され、感染から長期間が経過している▽現時点で野生のイノシシの陽性は確認されていないがウイルスが広がっている可能性は否定できない▽九州7県は飼料の流通や食肉処理場への出荷など関連性が極めて強い―などの理由から九州全域を対象とする事務局案が示された。

 委員からは反対意見は出ず、「継続的な接種に必要なワクチンの確保を」「野生イノシシの感染対策としてのワクチン散布も検討すべき」などの声が上がっていた。(大橋諒)