九州新幹線長崎ルートに関する国土交通省との協議について、所感を述べる山口祥義知事=佐賀県庁

 九州新幹線長崎ルートの整備方針検討区間(新鳥栖―武雄温泉)に関し、佐賀県の山口祥義知事は21日の定例記者会見で、進展が見られない国土交通省との協議を続ける意義について問われ、「打ち切る理由もない」と答えた。政府与党やJR九州、長崎県は全線フル規格での整備を主張しているが、「佐賀県から打開する話ではない」との考えを改めて示した。

 県は国交省からの呼びかけに応じ「フル規格を実現するための協議ではない」ことを前提に2020年6月から「幅広い協議」を続けている。しかし、今年2月の第7回協議を最後に5カ月以上開かれていない。

 山口知事は「もともと新鳥栖-武雄温泉が在来線の利用を前提に計画されていた」と説明。フル規格で整備した場合、県の実質負担は「1千億円でも足りない」との見立てを示した上で「県として(フル規格に)踏み出すことは考えていない」と強調した。

 一方で「国の方から新しい提案がなく、全くぴくりともしないことになると、われわれもぴくりともしない」と指摘。「別に幅広い協議を閉じることも考えていない」とし、「私もいろいろなところで国や与党の幹部と話をする機会があり、そこで打開策が見えてくれば新たな局面になる可能性はある」との見解を示した。(栗林賢)