林野庁は21日、神埼郡吉野ヶ里町の山中に埋設された猛毒のダイオキシンを含む除草剤「2・4・5・T剤」に関し、掘削から無害化処理までを一括して担う事業者の募集を始めたことを明らかにした。9月に契約を結び、10月の作業着手を想定している。

 林野庁によると吉野ヶ里町に埋設された除草剤は945キロで、量が多いため本年度中に処理できる量は、半分程度になる見込みだという。

 九州森林管理局が「産業廃棄物処理業務一式」として7月3日に公告しており、9月7日の入札を予定する。飛散防止措置を講じた上で、コンクリートで固められた除草剤を掘り出し処理施設に運び、ダイオキシンが無害化される高温で焼却処理する。

 除草剤は、1960年代後半から国有林の雑草を駆除する目的で散布された。不純物として猛毒のダイオキシン類が含まれる可能性があったため、国は71年に使用を中止。セメントなどと混ぜ合わせて15道県の計46カ所の山林に埋設処理された。

 本年度は吉野ヶ里町のほか、熊本県宇土市、高知県四万十町でも掘削と処理に取り組む。(大橋諒)