生徒たちにチャレンジの大切さを話す浦田理恵さん=小城市の小城高

 パラリンピックゴールボール女子の元日本代表で、ロンドン大会の金、東京大会銅メダリスト浦田理恵さん(46)=福岡市=の講演会がこのほど、小城市の小城高であった。視力を失う絶望から立ち直り、競技との出合いが自身の可能性を広げたことなどを紹介。生徒たちに「勇気を持って一歩踏み出そう」と呼びかけた。

 浦田さんは20歳のとき、急激に視力が低下する難病を患って左目を失明し、右目も視野の98%を欠損。不安に襲われる中で視力の低下を家族や両親に伝えられず、「見えるふりをしていた」と当時の心の葛藤を振り返った。

 家族や友人、先生らの支えで前向きな気持ちを取り戻し、26歳でゴールボールを始めて日本代表まで登り詰めた。東京パラでは日本選手団の副主将を務めた浦田さんは「競技と出合って人生が大きく変わった。何もしないのはゼロではなくマイナス。チャレンジは成功か成長をもたらす」と語りかけた。

 講演会は小城高が本年度から取り組む「共生社会を担う生徒育成事業」の一環で開かれ、生徒や教職員、保護者ら680人が聴講した。(市原康史)