佐賀県は13日、県内の最低賃金について議論している佐賀地方最低賃金審議会(富田義典会長)に対し要請を行った。政府が最低賃金の目標を全国平均で時給千円に掲げる中、全国最下位の佐賀でも優秀な人材を地元に残すために改定の議論を進めるよう求めた。

 山口祥義知事名で労働局を通じて提出された要請書では、企業が生産性向上で得た成果を働く人に分配し、賃金上昇、消費拡大の好循環を生み出すことが持続的な発展につながると強調。佐賀県では人材確保難が深刻化し、最低賃金が全国最下位という現状を勘案して議論するよう求めている。県が最低賃金改定に関する要請をするのは初めて。

 佐賀労働局長は11日、最低賃金の改定を審議会に諮問。8月1日から審議会、専門部会で引き上げ額を議論する。現行の最低賃金(853円)は前年から32円上がったものの、青森、高知など他9県と並び全国最下位だった。過去10年で5年は最下位となっている。

 最低賃金を巡っては、厚労相の諮問機関・中央最低賃金審議会が引き上げの目安額を示す4区分のうち、最低ランクの「D」を廃止して3区分に再編した。中間層を増やすことで底上げを図る狙いがあり、佐賀県は23年から「D」から「C」へ移行する。

 県産業人材課は「県では高校生の県内就職率向上や、UJIターンを促進する政策を進めてきた。産業の振興、県の発展のためにも要請の趣旨を理解いただければ」と話した。(大田浩司)