活発化した梅雨前線の影響で10日、九州北部を中心に非常に激しい雨が降り続き、気象庁は福岡、大分両県に最大の警戒レベル5となる大雨特別警報を発表した。福岡、佐賀、大分の3県で線状降水帯が発生。土砂災害などが既に起きている恐れがあり、最大級の警戒を呼びかけた。発表は今年初めて。
福岡県の地元消防によると、10日午前3時40分ごろ、同県添田町の住宅に土砂が流入し、高齢夫婦が閉じ込められていると119番があった。男女が発見されたが、女性の死亡が確認された。佐賀県の唐津市消防本部によると、10日午前6時15分ごろ、唐津市浜玉町平原で「山が崩れた」と119番があった。住宅2棟に土砂が流入し、男性2人、女性1人と連絡がついていない。
山陽新幹線は広島―博多間の上下線、九州新幹線も博多―熊本間の上下線で運転を見合わせた。
10日午前6時20分時点の3時間降水量は福岡県久留米市で167ミリと観測史上最多を記録。同県太宰府市で156・5ミリ、佐賀市で132・5ミリ、大分県宇佐市で104・5ミリを観測した。
特別警報の対象は、福岡県久留米市、八女市、うきは市、朝倉市、東峰村、添田町、大分県日田市、中津市。各地で河川の氾濫も発生。気象庁は記者会見で「これまでに経験したことのないような大雨になっている。災害が既に発生している可能性が極めて高い」とした。
西日本から東日本の日本海側を中心に11日にかけて、さらに雨が続く見通しで、気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒を呼びかけた。
首相官邸も、大雨に備えて危機管理センターに設置していた情報連絡室を官邸連絡室に格上げし、災害への警戒態勢を強めた。
11日午前6時までの24時間に予想される雨量は多い所で、九州北部200ミリ、中国100ミリ、北陸80ミリ。その後の24時間は北陸50~100ミリ。
9日も九州北部や中国地方を中心に大雨となった。7日から10日午前6時までの降水量は、福岡県添田町で421・5ミリ、佐賀市で400ミリ、大分県日田市で322ミリ、山口県下関市で259・5ミリ、松江市で255ミリに達した。【共同】