佐賀新聞で毎月コラムを連載している医師で作家の鎌田實さん(74)。今月、高校生のための文化講演会や、中高年向けの「がんばらない健康実践塾」のために来佐した鎌田さんに、人生の“壁”をどう乗り越え、生き抜くか、知恵と心構えを聞いた。(聞き手・古賀史生)
-高校生に向けた「命の授業」では医療現場や被災地で鎌田さん自身が関わったエピソードに、生徒たちが涙ぐんでいましたね。
次の世代に何かを伝えていくのは、僕たち中高年にとっても生きがいにつながる。自分のためにも、地域のためにも、大げさに言えば、この国をよくするためにも大切なことだと思う。
今回は「偏差値」ではなく、「変さ値」という言葉を紹介した。子どもたちはある種の“壁”の中で暮らしている。スポーツや勉強など、壁の中の競争でも頭角を現す子たちは、そこで努力をしていけばいい。
うまくいっていない子たちに、壁の外には自由な世界があると伝えたかった。目の前の壁を乗り越えたり、迂う回かいしたりすれば、面白い世界が広がっている。それに気づいてほしかった。