国指定特別史跡・吉野ケ里遺跡(神埼市郡)で24日、北墳丘墓西側の「謎のエリア」で見つかった石棺墓(せっかんぼ)の特別公開が始まった。県が調査状況を連日発表して関心を集めたこともあり、県内外から1500人の考古学ファンや家族連れが詰めかけた。葬られたとされる弥生時代後期の有力者の姿に思いを巡らせていた。25日まで。
石棺墓は4月下旬に見つかり、県は6月5~14日に石ぶたを開けて内部や周辺を発掘調査。「弥生時代後期~終末期(2世紀後半~3世紀中頃)の有力者の石棺墓が吉野ケ里で初めて見つかった」と結論付けた。被葬者の人骨、副葬品は見つからなかった。
午前9時の開園直後から考古学ファンらが石棺墓の周りを埋めつくし、内部に赤色顔料が使われた石棺や多くの線刻がある石ぶたを撮影した。「赤い顔料の種類は」「思ったより小さいが、中にはどんな人が入っていたのか」などと職員に質問する姿も見られた。
邪馬台国の九州説に共感する大阪府和泉市の中垣雅雄さん(74)は「石棺墓が出たことで今後の発掘調査で新しい発見があると期待している」と笑顔。古墳を研究する友人と訪れた福岡市の堀米智映子さん(53)は「線刻が北部九州に多い装飾古墳とどうつながるのか想像して楽しかった」と歴史ロマンを駆り立てられていた。
25日の特別公開は雨天中止で、中止の情報はウェブサイト「ナゾホルよしのがり」で発信する。(古賀真理子)