恒例の作陶展を開いている井上萬二さん(左)。「アイデアはいくらでも浮かんでくる」と語る=東京都中央区銀座のセイコーハウス銀座ホール

 白磁の人間国宝(重要無形文化財保持者)の陶芸家、井上萬二さん(94)=西松浦郡有田町=の作陶展が22日、東京・銀座のセイコーハウス銀座ホールで始まった。テーマである「清新―麦のごとく―」にちなみ、麦の文様をあしらった作品が並ぶ。7月2日まで。

 銀座での個展は47回を数える。萬二さんは「新しいものを創造して提供する展覧会。毎年同じ会場でやるのは新鮮さを感じてもらう点からも難しいが、勉強の場だと思い、あえて挑戦している」と衰えぬ創作意欲の後押しにもなっていると語る。

 今回テーマに選んだ麦に関しては「踏まれては強く、たくましく起き上がる麦のように、己に負けず鍛錬を積み、日々精進する。自分も麦のように根強くありたい」との思いを込めたという。

 「白磁緑麦彫文面取(みどりむぎちょうもんめんとり)花瓶」や「白磁緑麦彫文ワインカップ」など洗練された造形の白磁に、かけ分けた緑釉(ゆう)で麦の絵柄があしらわれており、力強い生命力を感じさせる。このほか、代表作である白磁の壺(つぼ)や渦文壺、花瓶や香炉、鉢、酒器など新作ばかりの約100点が来場者の目を楽しませている。(大橋諒) 

 ▽「井上萬二白磁展 清新―麦のごとく―」は各日午前11時から午後7時(最終日は午後5時)まで。